ルーマニアでの税務上の居住者判定(日本の居住者・日本人向け)
ルーマニアは、ルーマニアに住所(身分証明書に記載された住所)がある人、生活上の利害の中心がルーマニアにある人、その暦年に終了する任意の連続12か月に合計183日を超えて滞在した人、ルーマニア国の公務員又は職員として国外で勤務するルーマニア国民を居住者とし、国内外のすべての所得に原則10%の所得税を課します。日本は住所(生活の本拠)又は1年以上の居所で判定します。日ルーマニア租税条約第4条第2項には恒久的住居などの振分け基準がなく、双方居住者は両国の権限のある当局の合意で決まります。合意があるまでは、両国の税額控除(第22条)で二重課税を調整します。
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ルーマニアで税務上の居住者とされる場合
税法典の第一の基準はルーマニアの住所 — 主たる住居として届け出て、ルーマニアの身分証明書に記載された住所です。形式的な基準であり、国外で暮らしていても、国外に住所を正式に定めるまではルーマニアの住所が残ります。
ルーマニアに住所がなくても、家族、仕事、事業、財産といった生活上の利害の中心がルーマニアにあれば居住者です。
基準は暦年だけでなく、その年に終了する任意の連続12か月で判定します。183日を超えること(184日以上)が必要です。
ルーマニア国の公務員又は職員として国外で勤務するルーマニア国民は、国外での滞在日数にかかわらず居住者です。
- ルーマニアに住所があります — ルーマニアの税務上の居住者で(税法典第7条第28号(a))、ルーマニア国内外のすべての所得に課税されます。ルーマニアと条約を締結している国に移った場合も、居住地が変わった日までは居住者のままで、その変更は出国調査票と他方の国の居住者証明書で証明します(第59条第5項)。
- 生活上の利害の中心がルーマニアにあります — ルーマニアの税務上の居住者で(税法典第7条第28号(b))、すべての源泉の所得に課税されます。この結論は、個人的・経済的関係に対するANAFの総合的な評価によります。
- 今年に終了する12か月の期間に183日を超えてルーマニアに滞在しました — ルーマニアの税務上の居住者で(税法典第7条第28号(c))、入国の最初の日からすべての源泉の所得に課税されます(第59条第2^1項)。ルーマニアと条約を締結している国もあなたを居住者とする場合、双方居住者の問題は条約に従って解決され(第1条第3項)、他方の国での居住は居住者証明書で証明します(第59条第6項)。
- ルーマニア国の公務員又は職員として国外で勤務するルーマニア国民です — 国外での滞在日数にかかわらず、ルーマニアの税務上の居住者です(税法典第7条第28号(d))。
非居住者となる場合
- ルーマニアに住所がなく、生活上の利害の中心もなく、12か月で183日を超えて滞在していません — 非居住者です。ルーマニアはルーマニア源泉の所得(例えばルーマニアでの勤務の給与、ルーマニアの不動産の賃料)にだけ課税します。
- 形式上はどの居住基準も満たしませんが、生活上の利害の中心がどこにあるかははっきりしません。ANAFが中心はルーマニアにあると判断すれば居住者となります。他方の国での家族、住居、仕事、財産を示す資料を保管してください。
ルーマニアの法令と日本の規定が食い違う点
- 衝突:両国の居住者 — 日ルーマニア租税条約には振分けの基準がありません. 日ルーマニア租税条約第4条第2項は、恒久的住居、重要な利害関係の中心、常用の住居、国籍といった判定基準を定めず、両国の権限のある当局が合意によって居住地国を決定するとだけ定めています。合意があるまでは、日本もルーマニアもあなたを居住者として全世界所得に課税し得ます。ルーマニア源泉の所得に課された税は日本で外国税額控除(第22条第1項(a)、所得税法第95条)により、日本源泉の所得に課された税はルーマニアで税額控除(第22条第2項、税法典第131条)により調整します。相互協議の申立ては、課税の最初の通知の日から3年以内に行います(第24条)。
- 衝突:ルーマニアの住所があれば、日本に住んでいてもルーマニアの居住者です. ルーマニアの身分証明書に記載された住所がルーマニアにある限り、日本で生活し働いていても、ルーマニアはあなたを居住者とします。この地位は、国外に住所を正式に定める(旅券に国外住所を記載する)か、出国調査票と日本の居住者証明書で居住地の変更を証明する(税法典第59条第5項)まで終わりません。日本も居住者とする場合、条約には振分けの基準がないため、両国の権限のある当局の合意で解決します。
- 衝突:生活上の利害の中心がルーマニアにある. ルーマニアに住所がなく滞在が183日以下でも、ルーマニアとの個人的・経済的な結びつき(家族、ルーマニアの雇用者、事業、不動産、銀行口座)がより密接であれば、ルーマニアはあなたを居住者とします(税法典第7条第6号・第28号(b))。ANAFは個人的関係を優先して全体を評価します。日本も住居、職業、資産、親族の居住状況などで住所を総合的に判定するため、家族と仕事が別々の国にある場合は双方居住者となり得ます。その場合は両国の権限のある当局の合意で解決します。
- 衝突:1年未満のルーマニア赴任 — 日本では居住者のまま、ルーマニアでは12か月で183日超により居住者. 国外での勤務が継続して1年以上に及ぶ予定でなければ、日本では国内に住所を有しない者と推定されず(所得税法施行令第15条)、日本の居住者のままとなり得ます。ルーマニアは、その年に終了する任意の連続12か月で183日を超えて滞在すれば、入国の最初の日から居住者とします(税法典第7条第28号(c)、第59条第2^1項)。双方居住者の状態は、両国の権限のある当局の合意(第4条第2項)があるまで続きます。滞在が183日に達してから30日以内にANAFへ入国調査票を提出します(OMFP 1099/2016)。
そのほかの注意点
- 適用される条約:1976年の日ルーマニア租税条約(BEPS防止措置実施条約で一部修正). 日本とルーマニアの間では、1976年2月12日に東京で署名され1978年4月9日に発効した租税条約が適用されます。BEPS防止措置実施条約(MLI、ルーマニアについて2022年6月1日発効)により主要目的テストや相互協議の規定が修正されましたが、個人の双方居住者の扱い(第4条第2項:権限のある当局の合意)は変わっていません。給与は第15条(暦年183日)、私的年金は第18条(居住地国でのみ課税)、政府職員は第19条、二重課税の排除は第22条(両国とも税額控除)、相互協議は第24条(最初の通知から3年以内)です。
- 二つの異なる基準:日本は住所・1年以上の居所、ルーマニアは住所・利害の中心・任意の12か月で183日超. 日本は、生活の本拠(住所)が日本にあるか、日本に引き続き1年以上居所があるかで居住者を判定し、滞在日数の基準はありません。ルーマニアは、ルーマニアの住所(ルーマニアの身分証明書に記載された住所)、ルーマニアにある生活上の利害の中心、その暦年に終了する任意の連続12か月で183日を超える滞在(入国日・出国日を含む)、又は国外で勤務するルーマニア国の公務員のいずれかで居住者とします。両国の居住者となった場合、日ルーマニア租税条約は振分けの基準を定めず、両国の権限のある当局の合意に委ねています(第4条第2項)。
- ルーマニアでの勤務の給与:日ルーマニア租税条約第15条(暦年183日). 条約上日本の居住者である人がルーマニアで勤務した場合(日本の雇用者のためのリモートワークを含む)、ルーマニアでの滞在が当該年(暦年)を通じて合計183日以下で、給与をルーマニアの居住者でない雇用者が支払い、ルーマニアの恒久的施設又は固定的施設が負担していなければ、その給与は日本でだけ課税されます。一つでも満たさない場合、ルーマニアはルーマニアでの勤務日に対応する給与に10%の所得税(及びルーマニアの社会保険料)を課し、日本は外国税額控除(第22条第1項(a)、所得税法第95条)で調整します。ルーマニアの183日の居住基準は12か月単位、条約の183日は暦年単位であることに注意してください。両国の居住者で権限のある当局の合意がない間は、ルーマニアがこの免除を認めないことがあります。
- 二重課税の調整:日本もルーマニアも税額控除. 日本の居住者は、ルーマニアで条約に従い課された税を日本の所得税から控除します(第22条第1項(a)、所得税法第95条)。限度はその所得に対応する日本の税額で、確定申告に外国税額控除の明細書とルーマニアで納税したことを証する書類を添付します。ルーマニアの居住者でもある場合、ルーマニアは日本で納めた税を、その所得に対するルーマニアの税額を限度として、国ごと・所得の種類ごとに控除します(第22条第2項、税法典第131条)。ルーマニアの統一申告書の期限は翌年5月25日です。
- 居住者証明書とルーマニアでの条約の軽減税率. ルーマニアで条約の適用を受けるには — 例えばルーマニアの配当、利子、使用料に対する源泉徴収の軽減 — 日本の税務署で居住者証明書の交付を受け、ルーマニアの支払者に提出します。証明書は発行された年について有効で、ルーマニアの税率は条約の税率を超えません(税法典第59条第6項・第230条第1項)。ルーマニアの居住者であれば、ANAFが請求によりルーマニアの居住者証明書を発行します(OMFP 1099/2016第13条第3項)。
- 移住の年:両国とも年の途中で居住期間を区分します. ルーマニアに住所のない人は、入国の日(183日基準)又は申告した生活上の利害の中心の移転の日から出国までルーマニアの居住者です(税法典第59条第2項・第2^1項・第4項)。ルーマニアに住所がある人は、居住地の変更を証明した日まで居住者のままです(第59条第5項)。日本も、出国の日までを居住者期間、その翌日以後を非居住者期間として扱います(入国の場合は逆)。重なる期間の双方居住は、権限のある当局の合意で解決します。
- 非永住者:ルーマニア源泉の所得は日本で支払われ又は送金された分だけ日本で課税. 日本国籍がなく、過去10年以内に日本に住所又は居所を有していた期間が合計5年以下であれば非永住者です。日本は、ルーマニアでの勤務の給与、ルーマニアの不動産の賃料、ルーマニアの口座の利子などの国外源泉所得に、日本で支払われ又は日本に送金された範囲でだけ課税し、外国税額控除もその部分に限られます。ルーマニアの居住者でもあれば、ルーマニアは引き続き全世界所得に課税します。
- 国外に派遣されたルーマニア国の公務員. ルーマニア国の公務員又は職員として国外で勤務するルーマニア国民は、国外での滞在日数にかかわらずルーマニアの居住者です(税法典第7条第28号(d))。ルーマニア国が支払う報酬には日ルーマニア租税条約第19条(政府職員)が適用され、原則としてルーマニアでのみ課税されます(日本の国民である居住者などの例外あり)。
- 社会保障:日本とルーマニアの間に社会保障協定はありません. 日本年金機構の発効済み協定の一覧にルーマニアはなく、ルーマニアの国家公的年金庁(CNPP)の二国間協定の一覧にも日本はありません。EU規則第883/2004号も日本との関係には適用されません。日本の会社からルーマニアに派遣される場合などは、日本の年金・医療保険とルーマニアの社会保険(被用者のCAS 25%、CASS 10%)の両方に加入が必要となり、保険料を二重に負担することがあります。加入期間の通算もできません。
双方居住者の振り分け
両国があなたを居住者とみなす場合、租税条約第4条第2項が適用されます:所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とルーマニア社会主義共和国との間の条約(1976年2月12日東京で署名)。恒久的住居、重要な利害関係の中心、常用の住居、国籍の順に判定し、それでも決まらない場合は両国の権限ある当局の合意によります。
ルーマニアで目にする用語
- persoană fizică rezidentă
- ルーマニアの居住者である個人。国内外のすべての所得に課税(税法典第7条第28号)
- domiciliu
- 住所。主たる住居として届け出て、身分証明書に記載された場所
- centrul intereselor vitale
- 生活上の利害の中心。個人的関係及び経済的関係がより密接な場所
- certificat de rezidență fiscală
- 居住者証明書。ルーマニアで条約の税率の適用を受けるために提出
- Declarația unică
- 統一申告書。国外所得は翌年5月25日までに申告
- Codul fiscal
- 税法典(2015年法律第227号)
よくある質問
日本とルーマニアの両方で居住者になった場合、どちらの国の居住者になりますか?
日ルーマニア租税条約第4条第2項は、恒久的住居や重要な利害関係の中心などの基準を定めず、両国の権限のある当局が合意で決定するとしています。BEPS防止措置実施条約(MLI)もこの扱いを変えていません。合意があるまでは両国が居住者として課税し得るため、両国の税額控除(第22条)で調整し、残る二重課税は最初の通知の日から3年以内に相互協議を申し立てて解決を求めます(第24条)。
日ルーマニア租税条約の183日ルールはどう数えますか?
第15条第2項では、当該年(暦年)を通じてルーマニアでの滞在が合計183日を超えないこと、給与がルーマニアの居住者でない雇用者から支払われること、ルーマニアの恒久的施設又は固定的施設が負担しないことがすべて必要です。ルーマニアの居住者判定の183日は任意の連続12か月で数えるため、条約の183日(暦年)とは期間が異なります。条件を一つでも満たさなければ、ルーマニアは勤務日に対応する給与に10%の所得税を課し、日本は外国税額控除(第22条第1項(a)、所得税法第95条)で調整します。
日本とルーマニアの間に社会保障協定はありますか?
ありません(日本年金機構の発効済み協定の一覧による)。日本の会社から派遣される場合などは、日本の年金・医療保険とルーマニアの社会保険(被用者のCAS 25%、CASS 10%)の両方に加入して保険料を二重に負担することがあり、加入期間の通算もできません。
出典
法令・公式の解説
- art. 7 pct. 28 of the Fiscal Code (Codul fiscal, Law No. 227/2015) — 居住者である個人とは、次のいずれかに該当する者をいう:(a) ルーマニアに住所を有する;(b) 生活上の利害の中心がルーマニアにある;(c) 当該暦年に終了する任意の連続12か月の期間に、1回又は複数回、合計183日を超えてルーマニアに滞在する;(d) ルーマニア国の公務員又は職員として外国で勤務するルーマニア国民。
- arts 87 and 91 of the Civil Code (Law No. 287/2009) — 個人の住所は、主たる住居として届け出た場所である(第87条)。住所と居所は身分証明書の記載により証明される(第91条第1項)。居所は従たる住居の所在地である(第88条)。
- art. 34 of Law No. 248/2005 on the free movement of Romanian citizens abroad — 国外に住所を定めたルーマニア国民は、住所国を記載した一般旅券を請求できる。ルーマニアに帰国すると、国外住所の記載は抹消される(第36条)。
- art. 7 pct. 6 of the Fiscal Code — 生活上の利害の中心とは、個人的関係及び経済的関係がより密接な場所をいう。個人的関係:家族(配偶者、子、扶養親族)、慈善・宗教団体への所属、文化活動。経済的関係:ルーマニアの雇用者による雇用、ルーマニアでの事業活動、ルーマニアにある不動産・銀行口座など。
- ANAF — Cluj Regional Directorate, information note on the tax residence of individuals (18.06.2026) — 四つの条件のいずれかを満たせば居住者となる。生活上の利害の中心は全体として評価し、個人的関係を優先する。183日の基準は当該年に終了する任意の連続12か月の期間で判定し、入国日と出国日は通常算入する。
- art. 59(2), (2^1) and (3) of the Fiscal Code — 生活上の利害の中心(第7条第28号(b))により居住者となった非居住者は、中心がルーマニアにあると申告した最初の日からすべての源泉の所得に課税される(第2項)。183日超((c))により居住者となった者は、ルーマニアに入国した最初の日から課税される(第2^1項)。第3項:ルーマニアと租税条約が適用される国の居住者であることを証明する者には第2項を適用しない。
- art. 59(1) of the Fiscal Code — 所得税の納税義務者:ルーマニアに住所を有するルーマニアの居住者は国内外のすべての源泉の所得、その他の居住者は居住者となった日からすべての源泉の所得、非居住者はルーマニア源泉の所得(恒久的施設、ルーマニアで行う従属的活動、その他のルーマニア源泉の所得)に限り課税される。
- art. 59(5) of the Fiscal Code — ルーマニアに住所を有するルーマニアの居住者が、ルーマニアと租税条約を締結している国への居住地の変更を証明した場合、変更の日まではすべての源泉の所得に引き続き課税される。出国の30日前に出国調査票を提出し、他方の国の税務上の居住者であることを証明する。
- art. 1(3) of the Fiscal Code — 税法典の規定がルーマニアの締結した条約の規定と抵触する場合には、条約の規定を適用する。
- art. 59(6) of the Fiscal Code — ルーマニアと条約を締結している国の居住者は、当該外国の権限のある税務当局(又は居住を証明する権限を有する他の当局)が発行する居住者証明書により税務上の居住を証明する。証明書は発行された年について有効である。
- Order of the Minister of Public Finance No. 1099/2016 (Official Gazette No. 577 of 29.07.2016) — 入国調査票(附属書1)、出国調査票(附属書2)及びANAFの通知(附属書3・4)を定める。入国調査票は滞在が183日に達してから30日以内(第14条)、出国調査票は出国の30日前まで(第19条)に提出し、ANAFはそれぞれ30日・15日以内に回答する。双方居住者の判定順序:住所・恒久的住居、生活上の利害の中心、常用の住居、国籍、相互協議(第9条)。OECDモデル第4条のコメンタリーを参照する(第10条)。居住者証明書は請求により発行する(第13条第3項)。
- art. 7 pct. 27 of the Fiscal Code — 非居住者である個人とは、第28号の条件を満たさない個人のほか、ルーマニアで外交官・領事の地位を有する外国人、ルーマニアに登録された国際機関又はルーマニアにある外国機関の外国人公務員・職員及びその家族をいう。
- 日ルーマニア租税条約 第4条第2項 — 1の規定によつて双方の締約国の居住者となる個人については、権限のある当局は、合意により、この条約の適用上その個人が居住者であるとみなされる締約国を決定する。恒久的住居、重要な利害関係の中心、常用の住居、国籍による判定基準は定められていない。MLIは個人以外の双方居住者の規定だけを置き換える。
- BEPS防止措置実施条約(財務省「ルーマニア」のページ) — MLIは日本について2019年1月1日、ルーマニアについて2022年6月1日に発効し、日ルーマニア租税条約を修正する(相互協議の第16条、主要目的テストの第7条1など)。個人の双方居住者の扱い(第4条第2項)は変わらない。
- 日ルーマニア租税条約 第22条 — 日本(第1項(a)):日本国の居住者が条約の規定に従つてルーマニアにおいて租税を課される所得をルーマニアにおいて取得するときは、その所得について納付されるルーマニアの租税の額は、その居住者に対して課される日本国の租税から控除する。ルーマニア(第2項):ルーマニアの居住者が条約の規定に従つて日本国において租税を課される所得を日本国において取得するときは、その所得について納付される日本国の租税の額は、その居住者に対して課されるルーマニアの租税から控除する。
- 所得税法 第2条第1項第3号~第5号 — 居住者=国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人。非永住者=居住者のうち、日本の国籍を有しておらず、かつ、過去10年以内に国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下である個人。非居住者=居住者以外の個人。
- 所得税法 第95条;国税庁 タックスアンサー No.1240 — 居住者が外国所得税を納付する場合、控除限度額(その年分の所得税額×調整国外所得金額/所得総額)を限度として所得税額から控除し、超える部分は復興特別所得税の控除限度額まで控除する。控除余裕額・控除限度超過額は3年間繰越し可。非永住者の国外所得は国内払い・送金分に限る。条約上の限度税率を超える部分は対象外。申告書に「外国税額控除に関する明細書(居住者用)」と外国所得税を課されたことを証する書類を添付する。
- 日ルーマニア租税条約 第24条第1項(BEPS防止措置実施条約第16条1による修正後) — 一方又は双方の締約国の措置により条約の規定に適合しない課税を受けたと認める者は、国内法上の救済手段とは別に、いずれかの締約国の権限のある当局に申立てをすることができる。申立ては、条約の規定に適合しない課税に係る措置の最初の通知の日から3年以内にしなければならない。
- 国税庁 タックスアンサー No.9210 居住者証明書の請求 — 租税条約に基づく減免等を受けるために必要な日本の居住者であることの証明書は、所轄の税務署が発行する。居住者証明書(2部)と交付請求書を郵送又は来署で提出する。相手国が様式を定めていればその様式、なければ国税庁様式を使う。
- 国税庁 タックスアンサー No.2012(令和8年4月1日現在) — 国内に生活の本拠があるかどうかは、住居、職業、資産の所在、親族の居住状況、国籍等の客観的事実によって判断する。滞在日数のみで判断しないため、外国に183日以上滞在していても日本の居住者となる場合がある。双方居住者となったときは租税条約で判定し、必要に応じ両国当局の相互協議が行われる。
- 所得税法施行令 第15条 — 国外に居住することとなった個人が、①国外で継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有する場合、又は②外国の国籍若しくは外国の永住許可を有し、国内に生計を一にする親族がいないなど、再び国内に帰り主として国内に居住すると推測するに足りる事実がない場合には、国内に住所を有しない者と推定する。生計を一にする同居家族も同様。
- 日ルーマニア租税条約 第15条第2項 — 一方の締約国の居住者が他方の締約国内で行う勤務について取得する報酬は、次のすべてを満たせば居住地国でのみ課税される:(a) 報酬の受領者が当該年を通じて合計183日を超えない期間当該他方の締約国内に滞在すること;(b) 報酬が当該他方の締約国の居住者でない雇用者又はこれに代わる者から支払われること;(c) 報酬が当該他方の締約国内に雇用者の有する恒久的施設又は固定的施設によつて負担されないこと。
- art. 131 of the Fiscal Code — 外国税額控除又は免除は、ルーマニアと納税国との条約が適用され、税が実際に納付され(外国当局又は支払者の書類で証明)、所得が第61条の種類に当たる場合に認められる。控除額は国外所得に対するルーマニアの税額を超えず、国ごと・所得の種類ごとに計算する。外貨はルーマニア国立銀行の年平均レートで換算する。条約により免除される所得も統一申告書で申告する。
- art. 122(3) of the Fiscal Code — 所得税及び社会保険料の統一申告書は、課税年度ごとに、所得を得た年の翌年5月25日(当日を含む)までに提出する。
- art. 230(1) and (7) of the Fiscal Code — ルーマニアと条約を締結している国の居住者については、ルーマニア源泉の所得に対する税率は条約の税率を超えることができず、有利な税率を適用する。ルーマニアへの入国・出国時に税務上の居住を判定する調査票は、規範(財務大臣令第583/2016号・第1099/2016号)で定める。
- 国税庁 タックスアンサー No.1926(令和8年4月1日現在) — 国内の会社の給与所得者が1年以上の予定で海外の支店などに転勤すると、一般的には国内に住所を有しない者と推定され非居住者となる。年の中途の転出で納税管理人を指定した場合は居住者期間の全所得と非居住者期間の国内源泉所得を翌年2月16日~3月15日に申告し、指定しないで出国する場合は出国の時までに準確定申告をする。国内不動産の賃貸料は原則20.42%で源泉徴収される。
- 所得税法 第5条・第7条;国税庁 タックスアンサー No.2010 — 非永住者以外の居住者は国内及び国外で生じたすべての所得に課税される。非永住者は国外源泉所得以外の所得と、国外源泉所得のうち国内で支払われ又は国外から送金されたものに課税される。非居住者は国内源泉所得に限って課税される。
- 日ルーマニア租税条約 第19条第1項 — (a) 政府の職務の遂行として一方の締約国又はその地方公共団体に提供される役務につき、当該一方の締約国又はその地方公共団体が個人に支払う報酬(退職年金を除く。)に対しては、当該一方の締約国においてのみ租税を課することができる。(b) 他方の締約国の国民である居住者などについての例外がある。
- 日本年金機構「社会保障協定」(2025年10月27日更新) — 協定発効済み:ドイツ、英国、韓国、米国、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、フィリピン、スロバキア、中国、フィンランド、スウェーデン、イタリア、オーストリア(2025年12月1日発効)。英国、韓国、中国、イタリアとの協定は保険料の二重負担防止のみ(年金加入期間の通算なし)。
- art. 138(a) and art. 156 of the Fiscal Code — 年金保険料(CAS)25%、医療保険料(CASS)10%。被用者その他法律上の義務者に適用。
- National House of Public Pensions (CNPP) — bilateral agreements — ルーマニア国家公的年金庁が公表するルーマニアの二国間社会保障協定の一覧に日本は掲載されていない。
- art. 64(1) of the Fiscal Code — 独立的活動、給与、財産の賃貸、投資、年金、農業活動、賞金その他の源泉の所得の税率は10%とする(第4編に明示された税率を除く)。
- art. 97(7) of the Fiscal Code — 配当所得はその額の16%で課税され、課税は終了する(分離課税)。
- art. 130 of the Fiscal Code — 居住者は国外所得に課税され、所得の種類ごとの規定により算定する。外国の年金には特別の取扱いがある(第2^1項)。ルーマニアで非課税・免税の種類に当たる国外所得は同じ扱いを受ける(第3項)。国外所得は第122条第3項の期限までに統一申告書(Declarația unică)で申告し、同じ期限までに条約の方法を考慮して税額を計算・納付する(第4項)。
更新日 2026-11-04. 結果は情報提供のみを目的とするもので、税務上・法律上の助言ではありません。税務当局や裁判所は、ここで考慮していない事情も含めて異なる解釈をすることがあり、法令も改正されます。判断の前に専門家にご相談ください。