ポーランドでの税務上の居住者判定(日本の居住者・日本人向け)
ポーランドは、個人的又は経済的利害の中心がポーランドにあるか、課税年度(暦年)に183日を超えて滞在すれば居住者とします。日本は住所(生活の本拠)又は1年以上の居所で判定します。日ポーランド租税条約には恒久的住居などの振分け基準がなく、双方居住者は両国の権限のある当局の合意で決まります。二重課税は、日本の外国税額控除と、BEPS防止措置実施条約によるポーランドの税額控除で調整します。
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ポーランドで税務上の居住者とされる場合
ポーランドの基準は択一的です:個人的な、又は経済的なだけの利害の中心がポーランドにあるか、183日を超えて滞在すれば足ります。ポーランドの課税年度は日本と同じ暦年です。
- 生活上の利害の中心がポーランドにあります。所得税法(ustawa o PIT)第3条第1a項によりポーランドの居住者となり、全世界所得に課税されます。
- 経済的利害の中心がポーランドにあります。ポーランド法では、家族が日本に住んでいても、これだけでポーランドの居住者となります。
- 課税年度にポーランドに183日を超えて滞在しました。所得税法第3条第1a項第2号によりポーランドの居住者です。ビザや滞在許可の種類は関係ありません。
非居住者となる場合
- ポーランドに利害の中心がなく、滞在は183日以下です。ポーランドの非居住者です。ポーランド源泉の所得(ポーランドで行った勤務の給与を含む)には引き続き課税されます。
ポーランドの法令と日本の規定が食い違う点
- 衝突:両国の居住者 — 日ポーランド租税条約には振分けの基準がありません. 日ポーランド租税条約第4条第2項は、恒久的住居、重要な利害関係の中心、常用の住居、国籍といった判定基準を定めず、両国の権限のある当局が合意によって居住地国を決定するとだけ定めています。合意があるまでは、日本もポーランドもあなたを居住者として全世界所得に課税し得ます。ポーランド源泉の所得に課された税は日本で外国税額控除(第23条第1項、所得税法第95条)により、日本源泉の所得に課された税はポーランドで税額控除(MLI第5条6)により調整します。相互協議の申立ては、課税の最初の通知の日から3年以内に居住地国の権限のある当局に行います(第25条)。
- 衝突:利害の中心がポーランドにある — 経済的な中心だけでも居住者. ポーランドは、個人的利害の中心と経済的利害の中心を別々に判断し、いずれか一方がポーランドにあれば居住者とします。日本は住所を住居、職業、資産の所在、親族の居住状況などで総合的に判定するため、家族が日本に、仕事と収入がポーランドにある場合は両国の居住者となり得ます。条約には振分けの基準がないため、両国の権限のある当局の合意で解決します。
- 衝突:1年未満のポーランド赴任 — 日本では居住者のまま、ポーランドでは183日超で居住者. 国外での勤務が継続して1年以上に及ぶ予定でなければ、日本では国内に住所を有しない者と推定されず(所得税法施行令第15条)、日本の居住者のままとなり得ます。ポーランドは課税年度に183日を超えて滞在すれば、それだけで居住者とします。双方居住者の状態は、両国の権限のある当局の合意(第4条第2項)があるまで続きます。また、ポーランドでの滞在が暦年で183日を超えると、その年のポーランドでの勤務の給与は条約第15条第2項の免税を受けられません。
そのほかの注意点
- 二つの異なる基準:日本は住所・1年以上の居所、ポーランドは利害の中心又は183日超. 日本は、生活の本拠(住所)が日本にあるか、日本に引き続き1年以上居所があるかで居住者を判定し、滞在日数の基準はありません。ポーランドは、個人的又は経済的利害の中心がポーランドにあるか、課税年度に183日を超えて滞在すれば居住者とします。両国の居住者となることもあり得ますが、日ポーランド租税条約は、双方居住者の振分けを両国の権限のある当局の合意に委ねています(第4条第2項)。
- ちょうど183日:まだポーランドの居住者ではありません. 所得税法は課税年度に183日を超えること(184日目から)を求めています。ポーランドは入国日・出国日を含め日の一部も1日と数え、滞在は継続している必要がありません。
- ポーランドでの勤務の給与:日ポーランド租税条約第15条. 条約上日本の居住者である人がポーランドで勤務した場合(日本の雇用者のためのリモートワークを含む)、ポーランドでの滞在が当該年(暦年)を通じて合計183日以下で、給与をポーランド居住者でない雇用者が支払い、ポーランドの恒久的施設又は固定的施設が負担していなければ、その給与は日本でだけ課税されます。一つでも満たさない場合、ポーランドはポーランドでの勤務に対応する給与に課税し、日本は外国税額控除(第23条第1項、所得税法第95条)で調整します。両国の居住者で権限のある当局の合意がない間は、ポーランドがこの免除を認めないことがあります。
- 二重課税の調整:日本は税額控除、ポーランドもMLIにより税額控除. 日本の居住者は、ポーランドで課された税を日本の所得税から差し引きます(第23条第1項、所得税法第95条)。限度はその所得に対応する日本の税額です。ポーランドの居住者については、条約本文は日本で課税され得る所得を免除する方式(配当・利子・使用料は税額控除)でしたが、BEPS防止措置実施条約第5条6により、2019年7月1日以後に開始する課税期間からは日本の税をポーランドの税から控除する方式になっています。ポーランドで条約の軽減を受けるには、日本の税務署で居住者証明書の交付を受けて提出します。
- 移住の年:ポーランドは年の途中での居住地の変更を認めます. ポーランドは、利害の中心が移った日(例えば家族が移った日)から居住者とするため、年が分割され得ます。日本も、出国の日までを居住者期間、その翌日以後を非居住者期間として扱います(入国の場合は逆)。同じ所得が控除なしに二重に課税されないよう、両国の期間を合わせて確認してください。
- ulga na powrót(帰国者控除)— ポーランド国籍又はEU国籍などがある場合のみ. ポーランドは、3暦年非居住者であった後にポーランドに居住地を移した人の給与所得と事業所得を、年85,528ズウォティまで4年間非課税とします。対象はポーランド国籍、ポーランド人証明書(Karta Polaka)又はEU・EEA・スイスの国籍を有する人に限られ、日本国籍だけでは適用されません。移住前の居住国の要件に日本が含まれるかは本パッケージでは未確認です。日本の居住者でもあれば、日本はこの所得に課税し、控除できるポーランドの税はありません。
- 社会保障:日本とポーランドの間に社会保障協定はありません. 日本年金機構の発効済み協定の一覧にポーランドはありません。日本の会社からポーランドに派遣される場合などは、日本の年金・医療保険とポーランドの社会保険の両方に加入が必要となり、保険料を二重に負担することがあります。加入期間の通算もできません。
- 適用される条約:1980年条約(BEPS防止措置実施条約で一部修正). 日本とポーランドの間では、1980年2月20日に署名され1982年12月23日に発効した租税条約が適用されます。BEPS防止措置実施条約(MLI)により、主要目的テスト、ポーランドの居住者の税額控除方式(第5条6)などが加わりましたが、個人の双方居住者の扱い(第4条第2項:権限のある当局の合意)は変わっていません。給与は第15条(暦年183日)、二重課税の排除は第23条、相互協議は第25条です。
双方居住者の振り分け
両国があなたを居住者とみなす場合、租税条約第4条第2項が適用されます:所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とポーランド人民共和国との間の条約(1980年2月20日署名)。恒久的住居、重要な利害関係の中心、常用の住居、国籍の順に判定し、それでも決まらない場合は両国の権限ある当局の合意によります。
ポーランドで目にする用語
- rezydencja podatkowa
- ポーランドの税務上の居住。所得税法第3条第1a項で判定
- ośrodek interesów życiowych
- 生活上の利害の中心。個人的又は経済的な中心のいずれかで足りる
- ustawa o PIT
- 個人所得税法(1991年7月26日法律)
- nieograniczony obowiązek podatkowy
- 無制限納税義務。居住者は全世界所得に課税
- certyfikat rezydencji
- 居住者証明書。条約の軽減を受けるために提出
- ulga na powrót
- 帰国者控除。ポーランド・EU国籍者などが対象
よくある質問
日本とポーランドの両方で居住者になった場合、どちらの国の居住者になりますか?
日ポーランド租税条約第4条第2項は、恒久的住居や重要な利害関係の中心などの基準を定めず、両国の権限のある当局が合意で決定するとしています。合意があるまでは両国が居住者として課税し得るため、両国の税額控除で調整し、残る二重課税は最初の通知から3年以内に相互協議を申し立てて解決を求めます。
日ポーランド租税条約の183日ルールはどう数えますか?
第15条第2項では、当該年(暦年)を通じてポーランドでの滞在が合計183日を超えないこと、給与がポーランド居住者でない雇用者から支払われること、ポーランドの恒久的施設又は固定的施設が負担しないことがすべて必要です。
日本とポーランドの間に社会保障協定はありますか?
ありません(日本年金機構の発効済み協定の一覧による)。日本の会社から派遣される場合などは、両国の社会保険に加入して保険料を二重に負担することがあり、加入期間の通算もできません。
出典
法令・公式の解説
- art. 3 ust. 1 ustawy o PIT — ポーランドに居住地を有する者は、所得の発生地にかかわらずすべての所得に課税される(無制限納税義務)。
- art. 3 ust. 1a ustawy o PIT — 個人は、ポーランドに個人的又は経済的利害の中心(生活上の利害の中心)を有する場合、又は課税年度にポーランドに183日を超えて滞在する場合に、ポーランドに居住地を有する。いずれか一つで足りる。
- Objaśnienia podatkowe MF z 29.04.2021 (tax residence guidance of the Ministry of Finance) — 個人的利害の中心と経済的利害の中心はそれぞれ別に判断し、いずれか一方で足りる。183日は日の一部も1日と数え(入国日・出国日を含む)、継続している必要はない。居住は年の途中で開始し、又は終了し得る。
- art. 3 ust. 2a–2b ustawy o PIT — 非居住者はポーランド源泉の所得にだけ課税される。ポーランドで行った勤務の給与は、支払地にかかわらずこれに含まれる。
- 所得税法 第2条第1項第3号~第5号 — 居住者=国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人。非永住者=居住者のうち、日本の国籍を有しておらず、かつ、過去10年以内に国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下である個人。非居住者=居住者以外の個人。
- 日ポーランド租税条約 第4条第2項 — 1の規定により双方の締約国の居住者に該当する個人については、両締約国の権限のある当局は、合意により、この条約の適用上その個人が居住者であるとみなされる締約国を決定する。恒久的住居、重要な利害関係の中心、常用の住居、国籍による判定基準は定められていない。
- 日ポーランド租税条約 第23条第1項 — 日本:日本の居住者が条約に従いポーランドで租税を課される所得を取得する場合には、その所得について納付されるポーランドの租税の額は、当該居住者に対して課される日本の租税の額から控除する。控除の額は、日本の租税の額のうちその所得に対応する部分を超えない。
- BEPS防止措置実施条約 第5条6(日ポーランド租税条約への適用;財務省「ポーランド」のページ) — MLIは日本について2019年1月1日、ポーランドについて2018年7月1日に発効。日ポーランド租税条約には第5条6(ポーランドの居住者についてのみ)が適用され、ポーランドの居住者の二重課税は、免除方式に代えて、日本で納付された所得税の額をポーランドの租税から控除する方式(税額控除)で排除される。源泉徴収以外の租税については2019年7月1日以後に開始する課税期間から適用。MLI第4条は第1項(個人以外の双方居住者)だけが適用され、個人の第4条第2項は変わらない。
- 日ポーランド租税条約 第25条 — 相互協議:条約の規定に適合しない課税を受けたと認める者は、居住地国の権限のある当局に申し立てることができ、申立ては当該措置の最初の通知の日から3年以内にしなければならない。権限のある当局は、他方の締約国の権限のある当局との合意によってその事案を解決するよう努める。
- 所得税法 第95条;国税庁 タックスアンサー No.1240 — 居住者が外国所得税を納付する場合、控除限度額(その年分の所得税額×調整国外所得金額/所得総額)を限度として所得税額から控除し、超える部分は復興特別所得税の控除限度額まで控除する。控除余裕額・控除限度超過額は3年間繰越し可。非永住者の国外所得は国内払い・送金分に限る。条約上の限度税率を超える部分は対象外。申告書に「外国税額控除に関する明細書(居住者用)」と外国所得税を課されたことを証する書類を添付する。
- 国税庁 タックスアンサー No.2012(令和8年4月1日現在) — 国内に生活の本拠があるかどうかは、住居、職業、資産の所在、親族の居住状況、国籍等の客観的事実によって判断する。滞在日数のみで判断しないため、外国に183日以上滞在していても日本の居住者となる場合がある。双方居住者となったときは租税条約で判定し、必要に応じ両国当局の相互協議が行われる。
- 所得税法施行令 第15条 — 国外に居住することとなった個人が、①国外で継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有する場合、又は②外国の国籍若しくは外国の永住許可を有し、国内に生計を一にする親族がいないなど、再び国内に帰り主として国内に居住すると推測するに足りる事実がない場合には、国内に住所を有しない者と推定する。生計を一にする同居家族も同様。
- 日ポーランド租税条約 第15条第2項 — 一方の締約国の居住者が他方の締約国内で行う勤務の報酬は、次のすべてを満たせば居住地国でのみ課税される:(a) 報酬の受領者が当該年を通じて合計183日を超えない期間他方の締約国内に滞在する;(b) 報酬が他方の締約国の居住者でない雇用者又はこれに代わる者から支払われる;(c) 報酬が他方の締約国内に雇用者の有する恒久的施設又は固定的施設によって負担されるものでない。
- 日ポーランド租税条約 第23条第2項(条約本文) — ポーランド:(a) 第10条~第12条以外の所得で日本で課税され得るものは免除する(残余の所得には、免除が行われなかったとしたならば適用される税率を適用できる)。(b) 配当、利子、使用料(第10条~第12条)については、日本で納付された租税の額をポーランドの租税の額から控除する。
- 国税庁 タックスアンサー No.9210 居住者証明書の請求 — 租税条約に基づく減免等を受けるために必要な日本の居住者であることの証明書は、所轄の税務署が発行する。居住者証明書(2部)と交付請求書を郵送又は来署で提出する。相手国が様式を定めていればその様式、なければ国税庁様式を使う。
- 国税庁 タックスアンサー No.1926(令和8年4月1日現在) — 国内の会社の給与所得者が1年以上の予定で海外の支店などに転勤すると、一般的には国内に住所を有しない者と推定され非居住者となる。年の中途の転出で納税管理人を指定した場合は居住者期間の全所得と非居住者期間の国内源泉所得を翌年2月16日~3月15日に申告し、指定しないで出国する場合は出国の時までに準確定申告をする。国内不動産の賃貸料は原則20.42%で源泉徴収される。
- Ulga na powrót (art. 21 ust. 1 pkt 152 ustawy o PIT) — podatki.gov.pl guide — 2021年12月31日後にポーランドに居住地を移した者について、給与、一定の契約及び事業からの所得が年85,528ズウォティ(他のPIT優遇と共通の上限)まで連続4課税年度非課税となる。要件:移住前3暦年にポーランドの居住者でなかったこと、ポーランド国籍、ポーランド人証明書(Karta Polaka)又はEU・EEA・スイスの国籍を有すること、及び一定の国に3年以上住んでいたこと(対象国の一覧は本パッケージでは日本について未確認)。
- 日本年金機構 社会保障協定:国別の発効時期と対象となる制度の一覧(2025年10月27日更新) — 日本の社会保障協定の発効国一覧にポーランドは掲載されていない(日本とポーランドの間に発効済みの社会保障協定はない)。
- 財務省 租税条約一覧(2026年6月26日現在) — ポーランド:1980年2月20日署名、1982年12月23日発効。BEPS防止措置実施条約の通告日2018年1月23日。
- art. 27 ust. 8–9 ustawy o PIT — 国外所得については、租税条約に応じて累進付免除又は外国税額の按分控除が適用される。
更新日 2026-11-04. 結果は情報提供のみを目的とするもので、税務上・法律上の助言ではありません。税務当局や裁判所は、ここで考慮していない事情も含めて異なる解釈をすることがあり、法令も改正されます。判断の前に専門家にご相談ください。